翻訳ソフトを買う、その前に翻訳機能を試してみる-フランス語編

 フランス語の翻訳ソフトを買おうか、買うまいか。謳い文句につられて即座に購入しても期待を裏切られることが多いので・・・と思うのは、英語の翻訳ソフトを買った経験から。買って損をしたではあとの祭り。買う買わないは試してみてからでも遅くない。フランス語を日本語に無料で翻訳してくれるのは、インターネット上では「infoseek」。infoseekの翻訳エンジンはCROSS LANGUAGE。CROSS LANGUAGEの明解翻訳フランス語(定価7,000円)のものだと思います。どれだけの実力があるのか、さっそく試して見ましょう。

 翻訳に使う素材は、フランスの新聞「LE FIGARO.fr international」にありました、「La Turquie autorise le voile à l'université」の1部分を抜粋させていただきます。

 原文記事
 En Turquie, l'interdiction faite aux étudiantes de se voiler à la faculté était en vigueur depuis 1980. Le Parti de la Justice et du développement au pouvoir (AKP) a voulu réformer la Constitution estimant que cette interdiction portait atteinte à la liberté de conscience et au droit à l'éducation.

 infoseek翻訳
 トルコでは、能力にそれ自身ベールに学生に作られる禁止は、1980年以降有効でした。 司法省の党と力(AKP)への発展は、この禁止が良心の、そして、教育に対する権利への自由を徐々にむしばんだと見積もっている憲法を改革したかったです。

 う~ん、でもこの訳文から良い日本語の訳文を作ってみましょう。翻訳ソフトの役割はあくまでも助っ人なのかもしれません。ここから人間さまの登場!!

 この段階では翻訳の良し悪しというよりも、日本語でざっと理解すればよし!! 次の段階は、日本語の情報を探す作業に入るわけですが、ここで使うのが「Google」の検索ボックス。「トルコ 学生 禁止」と入力してクリック!! すると・・・

 トルコ、大学でのスカーフ解禁を可決…世俗派は反対デモ(headlines.yahoo.co.jpの読売新聞より)

 検索上位にこんな感じで表示がでてきました。ここで内容確認!! 内容を大雑把に掴んでから先程の原文記事を読んでみると、フランス語の単語から日本語が想起されてきます。想起された状態でinfoseek翻訳の日本語を手直しする作業の開始!! 

 「étudiantes」となっていますので、「es」が付いていますのでここは複数形で女子学生の意味。

 「se voiler」はスカーフ着用の意味でしょう。フランス語には名詞をそのまま動詞にするようなものが多いですね。

 「faculté」という文字はフランスの大学構内で見た感じからこれは学部とかの意味だと思いますが、ここは単に「大学」という意味で訳すか、産経新聞のように「・・・大学の教室内での着用を解禁・・・」と「大学の教室内」と訳すべきか。この部分はもっと内容を調べてからですかね・・・。

 「En Turquie, l'interdiction faite aux étudiantes de se voiler à la faculté était en vigueur depuis 1980.」の記事は、「1980年代以降、公的施設でのスカーフ着用が禁止されてきた」(headlines.yahoo.co.jpより)という文面から、「トルコでは1980年代以降、女子学生が大学でスカーフを着用することが禁止されてきた」と訳すとすっきりした感じがしますがいかがでしょうか・・・。

 「Le Parti de la Justice et du développement au pouvoir (AKP)」は、検索した新聞記事に「公正発展党(AKP)」となっていましたので、これはそのまま借用。

 「réformer」はすぐに思い浮かぶかもしれませんが、法律をリフォーム、つまり法律改正という日本語の音感的なリズムがありますね。確認として産経新聞の見出しでは「トルコで女子大生のスカーフ解禁へ 国会で憲法改正案可決」、時事通信の見出しでは「女子大生のスカーフ着用解禁へ=改憲案を可決-トルコ国会」とありますので、ここは「改正」か「改憲」という文字を頭にインプットしておきます。

 「a voulu réformer la Constitution」は「改憲を訴えてきた」という日本語が浮かんできたのでそれをプールしておきましす。

 「droit à l'éducation」は「高等教育を受ける権利」という文字が記事に見受けられました。

 「la liberté de conscience」は、「憲法 良心の自由」をGoogleで検索すると、「日本国憲法 第19条は、日本国憲法第3章にあり、思想及び良心の自由について規定している」のようなものが検索でかかりましたので、とりあえずこれでよし!! 

 「portait atteinte」は、「portait atteinte」のワンセンテンスをLivedoorの翻訳で仏英訳をしてみますと、「this interdiction undermined the liberty of conscience and to the right to the education」という翻訳結果。「portait atteinte」は英語で「undermine」の意味になりますね。

 ここで訳文・・・
 公正発展党(AKP)は、スカーフ着用の禁止が良心の自由と教育を受ける権利を奪うものとして改憲を訴えていた。

 ・・・という感じで訳してみましたがいかがなものでしょうか。

 どうやれば外国語から日本語への翻訳を早くできるのかと日々考えましたが、ざっと機械で日本語へ翻訳しておいてから、その日本語を日本語へ翻訳したほうが作業効率がいい感じがしました。きれいな日本語というのかこなれた日本語が浮かんできやすい。外国語の原文ばかりを見ていると、文法に引きずられすぎちゃうんですよね。文法は、日本語を日本語にする段階で意識すればいいんじゃないかと・・・。日訳は誰が読むかといえば日本人ですから、日本語の文章になっていないといけませんものね。なによりも日本語のリズム感を持たせないといけません。でも、それがなかなか難しいんですけどね・・・。

 翻訳ソフトを買うべきか買わないべきか。無料でもいいかなとは思いますが、自分用にカスタマイズができないんですよね。翻訳ソフトの性能を高めるにはなんといっても「辞書」。情報量が少ないのは致命的なんですよね・・。かといって、翻訳するには自分の頭のなかにもたくさん情報を入れておくのはもちろんけど・・・。

 P.S. ヨーロッパ言語いわゆる屈折語の類は、定冠詞に動詞の時制、男性名詞・女性名詞の有無、現在・過去・未来・直説法に接続法なんてのも翻訳する際には要注意ですよ。言外の意味をいかに汲み取るかが、良い訳文につながる一歩かもしれませんね。