村上春樹、ノルウェーの森(挪威的森林)を中国語で読んでみる。

 日本人なのに外国語に翻訳されてた日本の文学作品がどう翻訳されているのかが気になるんですよね。日本人の作家がもつ独特のリズムや文体が、翻訳文にうまく反映されているのかなあ~と・・・。別にこれは違うんじゃないかと批評するのではなく、訳文を見てなるほどね~、こう訳すのか、ふむうむと勝手に納得したいだけなんですけどね。つまり、言語の違いはあれ、人間の感性は同じだと思うだけで嬉しく思うことを思うことが好きなだけなんですけど・・・。

 フランスへ1年間語学留学というのか遊学のようなものをしていた頃、よくFnacという本屋さんに言っていましたが、日本人の作家の本が読みたくなって(もちろん翻訳されたものですけど・・・)、外国人の作家のコーナーに行くと「Haruki Murakami」の文字がさっそく目に入りましたので、タイトルは見ずに手にとって冒頭を読んでみると、このリズムといい読後感といい、もしかして「ノルウェイの森」ではないかと思ってタイトルを見ると「La Ballade de L'impossible」。タイトルを見てもピンときませんでしたが、でも冒頭の部分が飛行機に乗っているからまちがいない、「ノルウェイの森」に違いないと思いそのまま読み進めてみましたが、フランス語に翻訳されたものを読んでも全然違和感がなかったのを覚えています、タイトルはフランスっぽいですけどね・・・。

 現在は中国語の勉強に励んでいる最中ですが、「ノルウェイの森」はもちろん、その作者の村上春樹(村上春树-cūn shàng chūn shù)は中国でも人気があると新聞で読んだことがあります。中国語に翻訳された「ノルウェイの森 -(挪威的森林-nuó wēi de sēn lín)」ってどんな感じなんでしょうwww.cunshang.netに中国語版の「ノルウェイの森」がありましたので、冒頭部分を少々引用させていただきまして、どんな感じなのか見てみましょう。それと「どんと来い、中国語」のサイトを利用させていただきまして、ピンイン表記をしておきます。

 37岁的我端坐在波音747客机上。庞大的机体穿过厚重的夹雨云层,俯身向汉堡机场降落。11月砭人肌肤的冷雨,将大地涂得一片阴沉。使得身披雨衣的地勤工、呆然垂向地面的候机楼上的旗,以及BMW广告板等的一切的一切,看上去竟同佛兰德派抑郁画幅的背景一段。罢了罢了,又是德国,我想。

 sānshíqī suì de wǒ duānzuò zài bōyīn qībǎisìshíqī kèjī shàng。pángdà de jītǐ chuānguò hòuzhòng de jiā yǔyúncéng,fǔshēn xiàng hànbǎo jīchǎng jiàngluò。shíyīyuè biān rén jīfū de lěngyǔ,jiāng dàdì tú de yī piàn yīnchén。shǐ de/dé/děi shēn pī yǔyī de dìqín gōng、dāirán chuí xiàng dìmiàn de hòujīlóu shàng de qí,yǐjí BMW guǎnggàobǎn děng de yīqiè de yīqiè,kàn shàng qù jìng tóng fólándépài yìyù huàfú de bèijǐng yīduàn。bàle bàle/bàliǎo bàliǎo,yòu shì déguó,wǒ xiǎng。

 飞机刚一着陆,禁烟字样的显示牌倏然消失,天花板扩音器中低声传出背景音乐,那是一个管弦乐队自鸣得意演奏的甲壳虫乐队的《挪威的森林》。那旋律一如往日地使我难以自已。不,比往日还要强烈地摇撼着我的身心。

 fēijī gāngyī zhuólù,jìnyān zìyàng de xiǎnshì pái shū rán xiāoshī,tiānhuā bǎn kuòyīnqì zhōng dīshēng chuánchū bèijǐng yīnyuè,nà shì yī gè guǎnxiányuèduì zì míng déyì yǎnzòu de jiǎqiàochóng yuèduì de《nuówēi de sēnlín》。nà xuánlǜ yīrú wǎngrì dì shǐ wǒ nán yǐ zìyǐ。bù,bǐ wǎngrì háiyào qiángliè dì yáohàn zhuó wǒ de shēnxīn。

 日本語はどうでしたっけ・・・。上の中国語の部分を見てみましょう。

 僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。その巨大な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ハンブルク空港に着陸しようとしているところだった。十一月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、雨合羽を着た整備工たちや、のっぺりとした空港ビルの上に立った旗や、BMWの広告板やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。やれやれ、またドイツか、と僕は思った。

 飛行機が着地を完了すると禁煙のサインが消え、天井のスピーカーから小さな音でBGMが流れはじめた。それはどこかのオーケストラが甘く演奏するビードルズの『ノルウェイの森』だった。そしてそのメロディーはいつものように僕を混乱させた。いや、いつもとは比べものにならないくらい激しく僕を混乱させ揺り動かした。

 この冒頭の部分は個人的に音感的にはフラットで読み進めたい気分なんですけど、中国語の四声ですとそういけないのが残念な気もしないではありませんが・・・。

 村上春樹の小説を読んでいてよく出てくるのが、「やれやれ」。この語感は好きなんですけど、中国語では「罢了罢了-bàle bàle/bàliǎo bàliǎo」。www.zdic.netでちょっと調べてみます。

 ・罢了 bàle
 语气词,用在陈述句的末尾,有“仅此而已”的意味,对句子的意思起冲淡的作用,前面常跟“不过”、  “无非”、“只是”等词呼应
 这不过是我的一点学习心得罢了

 ・罢了 bàliǎo
 表示容忍,有勉强放过、暂时不深究的意思
 他不愿意去也就罢了

 ドイツといえばこれかあ~。ソーセージとジャガイモしかないの? 観光客じゃないんだよ、まったく・・・といったニュアンスでいいんでしょうか(ドイツのひとに怒られそうですけど・・・)。罢了(bàle)か罢了(bàliǎo)なのかどっちなんだろう、こんな時の気分は罢了罢了、やれやれ・・・。