三国志の英雄・劉備玄徳は中国でどう評価されているんだろうか

 三国志(sān guó zhì)を一貫して流れているテーマは「」であると、2008年2月11日付のブログ「中国人と日本人が共有している道徳観-三国志と論語から「義」について考えてみる」で紹介しましたが、その中でも突出している人物言わずもながですが、「劉備玄徳(刘备玄德-liú bèi xuán dé)」。吉川英治の小説「三国志」や横山光輝の漫画「三国志」のなかに出てくる彼の立ち居振る舞いがとてもスマートですが、でも他の登場人物と比較してみてもとくに戦が強いというイメージではありません。かといって、彼がいることによって全体がよくまとまっているイメージがあります。それはいったいなんだろうかと不思議に思い、劉備について中国サイトで調べてみようかと・・・。

 Baidu百度(www.baidu.com)の百度百科に、劉備(刘备)に関する情報が事細かに書いてありましたので、ちょっとそちらから記事を引用させていただきます 。人物评价(人物評価)という項目に三国志の同時代の人たちによる劉備についての評価が載っていました。劉備とはこんな人物であると・・・。ちなみに原文テキストのピンイン変換には、「どんと来い、中国語(www.gakira.com)」を利用させていただきました。

 刘晔:“刘备,人杰也,有度而迟。”
 liúyè: liúbèi,rénjiéyě,yǒu dù ér chí。
 ※杰-傑
迟-遅

 袁绍:“刘玄德弘雅有信义,今徐州乐戴之,诚副所望也。”
 yuánshào: liúxuándé hóng yǎ yǒu xìnyì,jīn xúzhōu lè dài zhī,chéng fù suǒwàng yě。
 ※弘-great(www.zdic.netより)
义-義
乐-楽
诚-誠

 孙胜、贾诩:“刘备雄才。”
 sūnshèng、gǔxǔ: liúbèi xióngcái。
 ※雄才-すぐれた才能。宏才。大才。(excite国語辞書より)

 张辅:“刘备威而有恩,勇而有义,宽宏而有大略。”
 zhāngfǔ: liúbèi wēi ér yǒu ēn,yǒng ér yǒu yì,kuānhóng ér yǒu dàlüè。
 ※宽宏-magnanimous、generous、broad-minded(www.zdic.netより)

 上の評価からいくつかキーワードが見えてきますね。

  •  杰(傑)
  •  信义(信義)
  •  雄才
  •  恩
  •  义(義)

 それを裏打ちするかのように、劉備本人の言葉から彼の性格がよくわかります・・・。

 “今与吾水火相敌者,曹操也。曹以急,吾以宽;曹以暴,吾以仁;曹以谲,吾以忠。每与操相反,事乃可成。若以小利而失信于天下,吾不忍也。”
 jīn yǔ wú shuǐ huǒ xiāngdízhě,cáocāo yě。cáo yǐ jí,wú yǐ kuān;cáo yǐ bào,wú yǐ rén;cáo yǐ jué,wú yǐ zhōng。měi yǔ cāo xiāngfǎn,shì nǎi kěchéng。ruò yǐ xiǎolì ér shīxìn yú tiānxià,wú bù rěn yě。

 曹操とは・・・

 曹操(そう そう、Cáo Cāo、永寿元年(155年) - 建安25年1月23日(220年3月15日)は、中国後漢末の武将、政治家、詩人。字は孟徳、幼名は阿瞞また吉利。沛(はい)国譙(しょう)県(現在の安徽省亳州市)の人。
 後漢の丞相・魏王で、三国時代の魏の基礎を作った。廟号は太祖、謚号は武皇帝。後世では魏武帝、魏武とも呼ばれる。(Wikipediaより)

 曹操のキーワードは、急・暴・谲(deceitful-dict.cnより)。
 劉備のキーワードは、宽・仁・忠。

 どうして人気があるんだろうかという疑問が解けたような感じです。なるほど、なるほどというところ・・・。宽・仁・忠・杰(傑)・信义(信義)・雄才・恩・义(義)というものがなければ、人は付いてこないということなんですね。でも劉備は身内にはどうだったんだろうかと、子供を持つ親としては少々気になるところなんですけど・・・。