中国語上級読本-呉音てなに?漢音てなに? 音韻変化の歴史をピンイン付けて読んでみる

 中国語を勉強していて一番困るのが、中国語の漢字の発音。中国のサイトを見るたびにピンイン付けてほしいなあと勝手に思っていますが、中国人がわざわざピンインを付けて読んでいるわけがありませんよね。言葉を返すようですけど、日本語にも漢字に振り仮名ふってよーと中国の人たちから逆に言い返されてしまいそう。その漢字どの音で読めばいいのよー、呉音? 漢音? 唐宋音? マンダリン? うーん、そう聞かれてもこれは音読みでしてなんていっても理解してくれるかどうか・・・。

 中国語の音韻というのか方言というのか詳しいことは分かりませんが、とりあえず代表的なものは-吴音(呉音-wúyīn)、汉音(漢音-hànyīn)、唐宋音(tángsòngyīn)、现代汉语音(現代漢語音-xiàndàihànyǔyīn)の4種類。ただいま勉強中の中国語は「現代漢語音」ですよね、でもわたしたちが小学校で漢字を辞書で調べたときに目に飛び込んでくるのが、「訓」と書かれた横に「漢音」とか「呉音」とか書いてあるそれ。ちなみに「呉音」というのは仏教用語に多いみたいですね。

  • 金刚力士(こんごうりきし)-金剛力士像というお寺の入り口に怖い顔をして睨みつけていますね・・・。
  • 建立(こんりゅう)-寺院・神社の建立なんていいますね。
  • 境内(けいだい)
  • 礼拝(らいはい)
  • 行仪(ぎょうぎ)
  • 灯明(とうみょう)
  • 和上(わじょう)-鑑真和上が浮かびます・・・。
  • 経文(きょうもん)-お経の経ですね・・・。
  • 供养(くよう)-ご先祖様を供養する・・・。
  • 成就(じょうじゅ)-学業成就に恋愛成就・・・。
  • 杀生(せっしょう)-殺生
 (Baidu百度-百度百科より)

 あらためて「呉音」とか「漢音」を考えてみると、どうしてそんな違いがおこってしまったのかが気になるところ。やはりその裏には激動の歴史が隠されているはずですよね。ここは中国語の勉強も兼ねまして、中国のサイトに行って直接調べてみましょう。

 サイト名は不明ですが、URLは「nilaikankan.blogbus.com/logs/11861913.html」にありました、「中国官话的历史变迁(zhōngguó guānhuà de lìshǐ biànqiān)(ZZZ) - [阅读]」というものです。記事の一部を少々引用させていただきます。原文のテキストにはピンインを付けておきますね。ピンイン変換にはいつもお世話になっています、「どんと来い、中国語(www.gakira.com)」さんのサイトを利用させていただきました。

 中国的历史,就是文明不断被摧毁与重建的历史

 zhōngguó de lìshǐ,jiùshì wénmíng bùduàn bèi cuīhuǐ yǔ chóngjiàn de lìshǐ

 公元前221年,秦始皇统一了中国,但秦朝仅仅存在了15年就灭亡了。经过一番楚汉相争之后,刘邦建立了汉朝。两汉一共长达400多年,如此长时间的稳定的统一王朝,为中国人(或华夏人、汉人)这个群体的融合提供了条件。于是,汉民族以及相对统一的汉语形成。

 gōngyuánqián 221nián,qínshǐhuáng tǒngyī le zhōngguó,dàn qíncháo jǐnjǐn cúnzài le 15nián jiù mièwáng le。jīngguò yīfān chǔ hàn xiāngzhēng zhī hòu,liúbāng jiànlì le hàncháo。liǎnghàn yīgòng chángdá 400duōnián,rúcǐ chángshíjiān de wěndìng de tǒngyī wángcháo,wéi zhōngguórén (huò huáxiàrén、hànrén)zhègè qúntǐ de rónghé tígōng le tiáojiàn。yúshì,hànmínzú yǐjí xiāngduì tǒngyī de hànyǔ xíngchéng。

 中国の王朝の変遷も並行して見たほうがいいかもしれませんので、これも見ながら読んでいきましょう。

  • 秦(紀元前221年 - 紀元前207年)…秦王・政が6国を滅ぼし中華統一。
  • 前漢(西汉-西漢)(紀元前206年 - 8年)…秦滅亡後、楚の項羽との楚漢戦争に勝ち、劉邦が建国。
  • 新(8年 - 23年)…外戚の王莽が前漢皇帝から帝位を簒奪し建国。
  • 後漢(东汉-東漢)(25年 - 220年)…前漢の景帝の子孫の劉秀(光武帝)が王莽軍を破り、漢を再興。
 (Wikipediaより)

 华夏人(huáxiàrén-華夏人)という言い方には、特別な意味があるようですよね。Googleで「华夏人」を検索してみたら、「華夏民族,即今天“漢族”的前身,任何其他民族與“華夏”是沒有關係的!!!在中國的非漢民族,只能和“中”有關係,他們是中國公民,但是他們和“華”是沒有關係的!!!因爲他們不是華夏人。代表中國的民族只有“漢族”,也就是“中華民族”,但是必須明確的指出:中華民族就是單一的漢族,就是華夏民族,就是炎黃子孫!!!」というものがありました。この文面だけを見て判断してしまうのはいけないことかもしれませんが、ラストエンペラーで有名な「清」は漢族の国ではなくて、満州族の国という意識が強いのかどうか分かりませんが、「清国史」というものがまだ編纂されていませんよね。日本でもおなじみの「魏志」とか「後漢書」とか「隋書」なんてのは次の王朝が編纂したものですが、華夏や漢族の国ではないといけないということなんでしょうか。そのあたりの事情はまた調べてみたいと思っています。

 中国境内虽然方言众多,但自周朝以来,就有一种主导的语言。周秦时,这种主导语言叫做“雅言”。西汉时期则称作“通语”。西汉的首都在关中,也就是现在的西安一带,所以西汉通语应该是继承自周秦雅言的关中话。到东汉则迁都至现在的洛阳一带,当时的“洛语”则上升为了官话。魏晋继承东汉则不用多言。

 zhōngguó jìngnèi suīrán fāngyán zhòngduō,dàn zì zhōucháo yǐlái,jiùyǒu yīzhǒng zhǔdǎo de yǔyán。zhōu qín shí,zhèzhǒng zhǔdǎoyǔyán jiàozuò“yǎyán”。xīhàn shíqī zé chēngzuō“tōngyǔ”。xīhàn de shǒudōu zài guānzhōng,yě jiùshì xiànzài de xīān yīdài,suǒyǐ xīhàn tōngyǔ yīnggāi shì jìchéng zì zhōu qín yǎyán de guānzhōnghuà。dào dōnghàn zé qiāndōu zhì xiànzài de luòyáng yīdài,dāngshí de“luòyǔ”zé shàngshēng wéi le guānhuà。wèi jìn jìchéng dōnghàn zé bùyòng duōyán。

 司馬遼太郎の小説や横山光輝の漫画でおなじみの「項羽と劉邦」。劉邦の建てた漢の時代にひとまず落ち着くようですね。現在の日本の「官话」は通称(?)関東弁といわれる「東京語」になりますよね。国が安定すればその時の都がおかれたところで話されている言葉が主要言語になるわけですが、最近では「どなんきゃせんといかん」という言葉も耳にするようになりました。自分のお国言葉、標準語に対する場合は方言ですが、有名なところでは「そうずら」・「前で」・「(ご飯を食べた後に言う言葉、標準はご馳走さまでした)いただきました」などなど・・・。

 ここでひとまず休憩しまして、続きは次回のブログで紹介します。冒頭のこの一句-「中国的历史,就是文明不断被摧毁与重建的历史」が言うように、中国の歴史は壊してはまた作るの繰り返しです。そして必ず北から壊れてしまうんですよね、万里の長城というものがあるんですけど・・・。すると人はその脅威から逃げる、すると言葉も文化も移動する。ゲルマン人も大移動しましたもんね。今回の呉音と漢音も表記する文字は同じ漢字でも音韻の違いがあるということは、それなりの原因があって結果があるわけですよね。そして、歴史あり・・・。

 中国語の上級目指して、ちょっと難しそうなテキストをピンインだけを付けて読んでみました。あえて日本語に翻訳したものを載せていませんが、テキストが徐々に専門的になるにしたがって、なかなかいい日本語訳が出てこなくなるんですよね。どうしても辞書力が必要になってきます。それからだんだんと専門的な分野になってくると、その分野に詳しいことにこしたことはありませんが、予備知識があったほうが原文の理解度が早いような気がしますし、日本語への翻訳作業もすんなりいくような感じがしないでもありません。

 それにしてもいつすらすら中国語が読めるようになるんだろうかと思いながらも、上級を目指すのだというモチベーションだけが頼りの今日この頃・・・。